要望書

2024年12月11日
一般社団法人 公認心理師の会


厚生労働省にお願いしたいこと

【医療分野】

  1. 公認心理師が実施する認知行動療法に基づく心理支援(認知行動カウンセリング等)の診療報酬について、加算可能な職種として追加ないし評価を新設してください。
  2. I012精神科訪問看護指導料およびI016精神科在宅患者支援管理料を算定可能な職種に公認心理師を追加してください。
  3. I002通院・在宅精神療法の注9に規定する療養生活継続支援加算を算定可能な職種に公認心理師を追加してください。
  4. D283発達及び知能検査、D284人格検査、D285認知機能検査その他の心理検査について、検査施行時間を考慮した点数の算定をお願いします。
  5. D283発達及び知能検査、D284人格検査、D285認知機能検査その他の心理検査について、同一区分の検査を同一日に実施した場合にそれぞれの検査の診療報酬が算定可能となるような制度変更をお願いします。
  6. B001_23がん患者指導管理料、B001_9療養・就労両立支援指導料の注3に規定する相談支援加算の算定における公認心理師の役割について、必置とすべく調査研究の実施をお願いします。
  7. A303総合周産期特定集中治療室管理料の注3に規定される成育連携支援加算、B005_10ハイリスク妊産婦連携指導料1、B001_33生殖補助医療管理料の算定における公認心理師の役割について、必置とすべく調査研究の実施をお願いします。
  8. H001脳血管疾患等リハビリテーション料について公認心理師が失認及び失行症、高次脳機能障害の改善を目的としたリハビリテーションを実施した場合の診療報酬上の評価を検討してください。

【司法分野】

1.嗜癖分野では、公認心理師に限らずこの分野の専門家の数が十分ではないこと、および治療機関が問題発生数に比して著しく少ないことが課題であるため、依存症専門機関の拡充、専門家の養成、研修などへの支援をお願いします。

【福祉分野】


1.サービス管理責任者、児童発達管理責任者及び相談支援専門員の実務経験要件の国家資格保有者について、国家資格として公認心理師の追加を検討してください。

2.公認心理師の地域包括支援センターの配置職種への追加、介護支援専門員の実務経験の有資格者への追加、および認知症初期集中支援チームへの必置を引き続き要望します。

3.重度障害者支援加算の人員配置基準に公認心理師を追加してください。公認心理師による強度行動障害のある人への機能的アセスメント実施、標準支援の計画立案、施設職員・ご家族へのコンサルテーションが可能となり、効果的な支援を実施するだけでなく、虐待、体罰の予防を推進することができます。

【産業分野】

1.ストレスチェック制度の推進のために、産業保健総合支援センター等への公認心理師の常勤者配置を推進してください。

2.ストレスチェック制度における公認心理師の役割として、さらに1次予防対策を推進するために、集団分析等についても、公認心理師の役割の明確化を行ってください。

3.ストレスチェック実施者講習ができる者の担当する3科目のうち、公認心理師の担当実績がある、「事業所におけるメンタルへルス」と、「事業所における健康の保持増進を図るための労働者個人及び集団に対する支援の方法」について、3年以上の実務経験を有する公認心理師を追加してください。

4.産業保健総合支援センター等への常勤配置で現場対応者の体制を整備し、他領域と比較して最も不足している産業・労働領域の全国的な学部・大学院実習環境の整備に協力してください。

文部科学省にお願いしたいこと

1.スクールカウンセラーが学校教員と協働して心の健康教育を実施することや、いじめや不登校などに対するエビデンスに基づいた対応が可能となるための、スクールカウンセラーや教員などを対象とした研修機会を充実するように整えてください。

2.昨今の児童生徒の生命に関わる問題に対応できるよう、心の健康教育を実施するための時間の確保について、学習指導要領に盛り込むことを検討してください。

3.小中高等学校及び特別支援学校等におけるスクールカウンセラーの配置と活動の時間を拡大できるようにしてください。

4.障害のある児童生徒への心理支援の有効性が示されており、地域格差や小中学校との格差を解消すべく特別支援学校へのスクールカウンセラーの配置の増加をお願いします。

法務省にお願いしたいこと

1.再犯防止および被害者心情等伝達等制度に関わる非常勤心理職の常勤化をお願いします。

2.被害者や遺族の心理支援では、犯罪被害という理不尽な経験が、被害者や遺族の経済状況も悪化させており、対価を払って心理支援を受けることは非常に困難です。そのため、補助金等で民間支援機関等へ経済的援助の拡充をお願いします。

3.情状鑑定について、弁護士依頼の情状鑑定の場合における、拘置所等での被告人との面接において時間の制限や立会人を無くしてください。

4.少年のメンタルヘルスの向上や再非行防止に向けて、エビデンスに基づく成果を臨機応変に政策決定に生かしていただけるような体制の構築をお願いします。

内閣府こども家庭庁にお願いしたいこと

1.科学的根拠に基づいた専門的な個別発達支援に対して正当な報酬が払われるように改定をお願いします。

2.特定プログラム特化型(仮)の構想に、公認心理師等の心理指導担当職員が、多様な発達領域に係る個別心理支援を実施することを含めてください。

3.公認心理師等(心理指導担当職員)によるアセスメント(標準化された検査の実施)への心理検査加算をつけてください。

4.公認心理師等(心理指導担当職員)が個別の心理相談や家庭訪問等の家族支援を十分に行うため、家庭連携加算の報酬単価を上げて下さい。居宅訪問等のアウトリーチ型支援について、移動を含めた時間に見合う単価設定を検討してください。

5.事業所内相談支援加算について、月2回程度に増やすことを検討してください。

こども家庭庁、文部科学省にお願いしたいこと

1.子どもデータベースの構築においては、「学習」「障害」という小さい単位で分断するのではなく、「子ども」を中心とし省庁を超えた制度設計を行なってください。

2.子どもデータベースから得られる情報を実際の支援に反映するために、自治体の福祉部署へ公認心理師を配置する法的整備を検討してください。

厚生労働省、法務省、文部科学省にお願いしたいこと

1.再犯・再非行防止支援,犯罪被害者支援,配偶者暴力相談支援,ひきこもり地域支援,虐待含む家庭内暴力への対応の行政官庁間を横断した体制の構築や、官と民間との機能的な連携の仕組み作りをお願いします。
すでに、高齢または障害のために釈放後直ちに福祉サービスを受ける必要がある者に対するいわゆる「特別調整」においてはスルーケアの実績があることを踏まえ、対象の拡大を切に要望します。

警察庁、内閣府にお願いしたいこと

1.全国の被害者支援センター、ワンストップ支援センター等では、心理職を雇用する経済的基盤が不足しており、被害者支援領域において心理職の雇用が少ないために、専門の心理職の養成も困難な状況にあります。また、犯罪被害者や遺族には、刑事手続支援等と並行しての心理支援を提供することは困難な状況にあり、適切な支援がなされていません。
そのため、全都道府県に設置されている犯罪被害者支援センター、および性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターにおいては、トラウマインフォームドケアおよびトラウマスペシフィックケアの研修を受けた公認心理師を配置してください。