公益社団法人日本心理学会の活動

 こうした問題に対して、公益社団法人日本心理学会は真摯に取り組んできました。

 日本心理学会は、1927年(昭和2年)に創設された学会で、心理学の総合学会としては最も長い歴史を持っています。会員数は約8,200名であり、基礎から実践まで心理学のすべての領域の会員がいます。これまで基礎資格としての「認定心理士」の認定事業などをおこなってきました。

 公認心理師法案の成立においても大きく貢献してきました。2005年には、日本心理学会の理事長辻敬一郎氏が医療心理師国家資格制度推進協議会の初代の会長をつとめました。以後も医療心理師国家資格制度推進協議会および日本心理学諸学会連合(日心連)において中心的役割を果たしてきました。2015年には、学会内に「公認心理師に係るワーキンググループ」を設置し、日本学術会議と合同で、公認心理師カリキュラムの提案をおこないました。

 公益社団法人日本心理学会は、以下のような理由から、公認心理師のカリキュラムを検討するのに最もふさわしい学会であると言えます。

① 公益社団法人日本心理学会は、広く基礎心理学と臨床心理学のすべての分野の専門家集団であるので、心理学のすべての領域にわたる公認心理師のカリキュラムを検討できる最も適切な学会です。

② 心理学教育を担う大学教員が多く加入しており、大学では公認心理師養成カリキュラムを実施する責任を持っている事が多いため、カリキュラムを検討するのにふさわしい学会です。

③ 日本心理学会は公益社団法人格を持ち、その活動は公益性が求められています。これまで認定心理士資格事業を行っており、大学での心理学履修を認定し、その単位認定基準を明確化し、教科書を作成してきた経験があります。こうした点でも、カリキュラムを検討するのにふさわしい学会です。

④ 諸外国においては、心理学の基幹学会(米国はAPA、英国はBPS)が資格制度の在り方を監修しています。こうした点からも、日本心理学会がその役割を担うことは自然な方向性と思われます。