要望書 行政官庁にお願いしたいこと

2023年10月17日

一般社団法人 公認心理師の会

 国民のみなさまの心身の健康増進のために国家資格である公認心理師がどのように貢献できるかについて、一般社団法人 公認心理師の会では「国民の健康のための公認心理師にむけて -今後の活動方針-2022年5月22日」としてまとめております。

 今回は、こうした方針を実現するために、国の行政官庁にお願いしたいことをまとめました。各方面でご検討いただけましたら幸いです。

厚生労働省にお願いしたいこと

  1. I003-2認知療法・認知行動療法を算定可能な職種に公認心理師を追加してください。
  2. I012精神科訪問看護指導料およびI016精神科在宅患者支援管理料を算定可能な職種に公認心理師を追加してください。
  3. I002通院・在宅精神療法の注9に規定する療養生活継続支援加算を算定可能な職種に公認心理師を追加してください。
  4. D283発達及び知能検査、D284人格検査、D285認知機能検査その他の心理検査について、検査施行時間を考慮した点数の算定をお願いします。
  5. D283発達及び知能検査、D284人格検査、D285認知機能検査その他の心理検査について、同一区分の検査を同一日に実施した場合にそれぞれの検査の診療報酬が算定可能となるような制度変更をお願いします。
  6. B001_23がん患者指導管理料、B001_9療養・就労両立支援指導料の注3に規定する相談支援加算の算定における公認心理師の役割について、必置とすべく調査研究の実施をお願いします。
  7. A303総合周産期特定集中治療室管理料の注3に規定される成育連携支援加算、B005_10ハイリスク妊産婦連携指導料1、B001_33生殖補助医療管理料の算定における公認心理師の役割について、必置とすべく調査研究の実施をお願いします。

8.ストレスチェック制度における公認心理師の配置の必置化してください。

9.あらゆる障害やバリアを感じて働く人に対する公認心理師による心理的支援を充実してください。

10.産業保健総合支援センター等による実習など不足している全国的な教育体制を整備してください。

11.依存症専門機関の拡充、専門家の 養成、研修などへの支援を検討してください。

文部科学省にお願いしたいこと 

  • エビデンスに基づいた支援が展開できるよう、教育・特別支援分野で活躍する公認心理師(SCおよびその他の職種)を対象とした研修機会を確保してください。
  • エビデンスに基づく支援による、いじめ、不登校、自殺、暴力、ストレスに起因する不適応等に関連する対応および予防的支援についての好事例の集約および発信をしてください。
  • 上記1,2が整った上で、公認心理師(SCおよびその他の職種)の常勤化とそれに伴う実務能力の向上に向けた取り組みを推進してください。
  • 特別支援学校のスクールカウンセラーの配置や派遣の格差を解消すべく特別支援学校へのスクールカウンセラーの配置の増加をお願いします。

法務省にお願いしたいこと

  • 再犯防止に関わる非常勤心理職の常勤化をお願いします。
  • 被害者や遺族の心理支援の経済的援助の拡充をお願いします。

3.情状鑑定について、弁護士依頼の情状鑑定の場合における、拘置所等での被告人との面接において時間の制限や立会人を無くしてください。

厚生労働省、法務省、文部科学省にお願いしたいこと

  • 再犯・再非行防止支援,犯罪被害者支援,配偶者暴力相談支援,ひきこもり地域支援,虐待含む家庭内暴力への対応の行政官庁間を横断した体制の構築や、官と民間との機能的な連携の仕組み作りをお願いします。

国土交通省にお願いしたいこと

  • 運転者に対する適性診断を実施するに公認心理師を含めてください。

経済産業省にお願いしたいこと

1.健康経営優良法人認定制度の「実施体制」に公認心理師の関与の選択肢を追加・加点してください。

2.  同上の制度の、「ヘルスリテラシーの向上の教育」のメンタルへルス対策の内容の実態把握をお願いします。

3.人的資本開示における精神的健康対策として公認心理師の活用状況の開示を促進してください。

4.多様な働き方に対応する安全なデジタルメンタルへルスツールの評価の補助支援と情報発信をお願いします。

内閣府こども家庭庁にお願いしたいこと

1.障害児通所支援事業の報酬改定に関するお願い

(1)令和6年度報酬改定における時間区分の導入により短時間の専門的な個別支援の報酬単価が下がらないよう改定してください。

(2)特定プログラム特化型(仮)構想について、公認心理師等の心理指導担当職員による個別の心理支援を想定に含めた制度設計にしてください。

(3)公認心理師等(心理指導担当職員)によるアセスメント(標準化された検査の実施)への心理検査加算をつけてください。

(4)公認心理師等(心理指導担当職員)が個別の心理相談や家庭訪問等の家族支援を十分に行うため、家庭連携加算の報酬単価を上げて下さい。

こども家庭庁と文部科学省にお願いしたいこと

1.子どもデータベースの構築においては「子ども」を中心とし省庁を超えた制度設計を行なってください。公認心理師は経済困窮や障害などの多様な困難を抱える子どもや家庭を早期に発見し、対処型から予防型支援ができるようになります。

2.子どもデータベースから得られる情報を実際の支援に反映するために、自治体の福祉部署への公認心理師を配置する法的整備を検討してください。

環境省にお願いしたいこと

1.環境保健のリスクコミュニケーションにおける体制整備に公認心理師による支援を位置づけてください。