公認心理師の会

設立の過程

設立の経過

国家資格「公認心理師」の実現

2015年の公認心理師法の成立によって、心理学関係者が待望した国家資格「公認心理師」が作られることになりました。公認心理師法の成立は、日本心理学史上画期的な出来事です。心理師の持つ社会貢献のパワーを最大限に発揮できるインフラが整備されることになります。公認心理師法の成立に尽力された方々に対して深い敬意を表します。

2017年には公認心理師法が施行されました。公認心理師をめざす学生は、大学で25科目、大学院で11科目を履修するという高いハードルを超える必要があります。また、公認心理師の養成が本格化し、養成する大学・大学院においては、これまでにない教育体制の強化が求められるようになりました。養成にあたっては、基礎心理学者と実践心理学者が協力して進めていくことが求められるようになりました。

公益社団法人日本心理学会の活動

こうした問題に対して、公益社団法人日本心理学会は真摯に取り組んできました。

日本心理学会は、1927年(昭和2年)に創設された学会で、心理学の総合学会としては最も長い歴史を持っています。会員数は約8,200名であり、基礎から実践まで心理学のすべての領域の会員がいます。これまで基礎資格としての「認定心理士」の認定事業などをおこなってきました。

公認心理師法案の成立においても大きく貢献してきました。2005年には、日本心理学会の理事長辻敬一郎氏が医療心理師国家資格制度推進協議会の初代の会長をつとめました。以後も医療心理師国家資格制度推進協議会および日本心理学諸学会連合(日心連)において中心的役割を果たしてきました。2015年には、学会内に「公認心理師に係るワーキンググループ」を設置し、日本学術会議と合同で、公認心理師カリキュラムの提案をおこないました。

公益社団法人日本心理学会は、以下のような理由から、公認心理師のカリキュラムを検討するのに最もふさわしい学会であると言えます。

  1. 公益社団法人日本心理学会は、広く基礎心理学と臨床心理学のすべての分野の専門家集団であるので、心理学のすべての領域にわたる公認心理師のカリキュラムを検討できる最も適切な学会です。
  2. 心理学教育を担う大学教員が多く加入しており、大学では公認心理師養成カリキュラムを実施する責任を持っている事が多いため、カリキュラムを検討するのにふさわしい学会です。
  3. 日本心理学会は公益社団法人格を持ち、その活動は公益性が求められています。これまで認定心理士資格事業を行っており、大学での心理学履修を認定し、その単位認定基準を明確化し、教科書を作成してきた経験があります。こうした点でも、カリキュラムを検討するのにふさわしい学会です。
  4. 諸外国においては、心理学の基幹学会(米国はAPA、英国はBPS)が資格制度の在り方を監修しています。こうした点からも、日本心理学会がその役割を担うことは自然な方向性と思われます。

公認心理師に貢献する公益社団法人日本心理学会の活動

2017年12月には「公認心理師大学カリキュラム 標準シラバス」を作成し、大学で授業を担当している教員の指針として公表しました。最初の案に対して、会員からのパブリックコメントを求めたところ、2018年3月末までに多くのパブリックコメントが寄せられ、これをもとに修正を加え、新たなシラバスを公開しました。

また、2018年4月には、心理学教育を行なっている大学の学部・学科・コース等を対象として、大規模な「公認心理師養成についてのアンケート調査」をおこないました。このアンケート調査では、「公認心理師カリキュラムを実施するに当たって不安や困難を感じていること」を尋ねましたが、多くの大学・大学院で、授業や講師の確保、実習先の確保、卒業生の進路などについて困難を感じていることが明らかとなりました。また、公益社団法人日本心理学会に望むことを尋ねたところ、「養成大学の要望をまとめて5年後の見直しで官庁と交渉してほしい」、「養成大学の組織化をすすめ、大学間の横の情報交換を進めてほしい」といった強い要望が寄せられました。

公認心理師養成大学教員連絡協議会の発足

このような要望を実現するためには、大学間で公認心理師養成の情報を共有し、これからの方向を考えていくためのネットワークが必要であると考えられました。そこで、公益社団法人日本心理学会は、2018年に「公認心理師養成大学教員連絡協議会」を発足させることにしました。

公認心理師養成大学教員連絡協議会は、公認心理師養成についての情報を集めて共有し、科学者-実践家モデルにもとづく公認心理師養成のありかたを議論しています。この会は、次の4つのワーキンググループに分かれて、5年後の制度見直しに向けて、活発な活動を進めています。

  1. 学部カリキュラム(標準シラバス、コンソーシアムと単位互換など)、
  2.  大学院カリキュラム(実践力の育成方法、実習施設との連携のあり方、臨床技能の到達基準、研究者養成、実習指導者育成など)
  3. 実習要領(実習施設要件、実習指導者要件、実習内容等の検討など)
  4. 国家試験(試験内容や出題方法の検討など)
    幸いにも多くの先生方のご賛同をいただき、組織会員・個人会員・加盟団体とも順調に増えております。
    詳しくは次のサイトを参照ください。
    https://psych.or.jp/qualification/shinrishi_info/

公認心理師の会の立ち上げ

2018年9月9日には第1回の公認心理師試験が実施されました。11月30日には合格発表があり、国家資格の公認心理師第1号が誕生しました。

公認心理師養成大学連絡協議会の活動をおこなう過程で、私たちは、科学者-実践家モデルにもとづく公認心理師を効果的に養成するためには、例えば実習などにおいて現場の公認心理師との連携が不可欠であることを痛感しました。

そこで、このたび公益社団法人日本心理学会の後援を受けて、公認心理師養成大学連絡協議会の関係者を中心として、新たに「公認心理師の会」を設立することにいたしました。

科学者-実践家モデルの理念に基づいて、研修会・事例検討会を実施し、実習指導者の育成、専門資格の認定といった事業をおこないます。これまでの考え方にとらわれることなく未来志向の公認心理師をめざします。

発起人一覧

氏名所属地域
金澤潤一郎北海道医療大学北海道
冨家直明北海道医療大学北海道
金井嘉宏東北学院大学東北
竹林唯福島県立医科大学東北
竹林由武福島県立医科大学東北
川崎奈緒子赤坂クリニック関東
小松智賀赤坂クリニック関東
野口恭子赤坂クリニック関東
松元智美赤坂クリニック関東
山口英里赤坂クリニック関東
長田久雄桜美林大学関東
小関俊祐桜美林大学関東
山蔦圭輔大妻女子大学関東
小林奈穂美カウンセリングルームさくら関東
市倉加奈子北里大学関東
副島沙彩国立がん研究センター関東
柳井優子国立がん研究センター関東
竹内恵美国立がん研究センター関東
岡部馨国立精神・神経医療研究センター関東
佐藤さやか国立精神・神経医療研究センター関東
長谷川由美国立精神・神経医療研究センター関東
横山知加国立精神・神経医療研究センター関東
松田修上智大学関東
国里愛彦専修大学関東
伊藤絵美洗足ストレスコーピング関東
田上明日香SOMPOヘルスサポート(株)関東
太田晴美千葉県がんセンター関東
森脇愛子帝京大学関東
浅井真理子帝京平成大学関東
岡島純子東京医療学院大学関東
五十嵐友里東京家政大学関東
岡島義東京家政大学関東
福井至東京家政大学関東
筒井順子東京女子医科大学関東
伊藤理沙東京大学関東
上田淳子東京大学関東
丹野義彦東京大学関東
堂谷知香子東京大学関東
山崎修道東京都医学総合研究所関東
田中恒彦新潟大学関東
筒井順子新潟大学関東
横田正夫日本大学関東
岡嶋美代BTCセンター関東
石原俊一文教大学関東
中澤佳奈子水戸メンタルクリニック関東
柴崎光世明星大学関東
渡部匡隆横浜国立大学関東
大塚明子楽山病院関東
入野晴菜早稲田大学関東
大月友早稲田大学関東
小川祐子早稲田大学関東
小野はるか早稲田大学関東
桂川泰介早稲田大学関東
佐藤秀樹早稲田大学関東
嶋田洋徳早稲田大学関東
鈴木伸一早稲田大学関東
田山淳早稲田大学関東
富田望早稲田大学関東
野村和孝早稲田大学関東
光山裕生早稲田大学関東
星野貴俊金沢工業大学中部
松井三枝金沢大学中部
有光興記関西学院大学中部
高橋史信州大学中部
坂井誠中京大学中部
正木美奈なごやメンタルクリニック中部
佐藤友哉新潟大学中部
古村健東尾張病院中部
佐々木淳大阪大学近畿
佐藤寛関西学院大学近畿
宮秋多香子京都ここてまる近畿
庵地雄太神戸百年記念病院近畿
巣黒慎太郎住友病院近畿
石川信一同志社大学近畿
杉若弘子同志社大学近畿
武藤崇同志社大学近畿
伊藤大輔兵庫教育大学近畿
三田村仰立命館大学近畿
津川秀夫吉備国際大学中国・四国
佐藤健二徳島大学中国・四国
山本哲也徳島大学中国・四国
古川洋和鳴門教育大学中国・四国
佐々木美保比治山大学中国・四国
澤田梢広島県立障害者リハビリテーションセンター中国・四国
首藤祐介広島国際大学中国・四国
尾形明子広島大学中国・四国
杉浦義典広島大学中国・四国
高垣耕企広島大学中国・四国
日下部典子福山大学中国・四国
小河修祐府中みくまり病院中国・四国
藤目文子府中みくまり病院中国・四国
長尾愛美宮崎大学医学部付属病院九州・沖縄
境泉洋宮崎大学九州・沖縄
高橋高人宮崎大学九州・沖縄
戸ヶ崎康子宮崎大学九州・沖縄
伊藤義徳琉球大学九州・沖縄