公認心理師の会とは

 国民のメンタルヘルスの向上をめざして、新しい公認心理師の職能団体「公認心理師の会」を設立しました。科学者-実践家モデルに基づき公認心理師のスキルアップとキャリアアップをめざします。公認心理師の公認心理師による国民のための職能団体をめざします。

基本理念

 科学者-実践家モデルに基づいて、高度専門職業人として活躍できる深い専門知識と技能を有する公認心理師をめざして、スキルアップとキャリアアップをめざす団体です。

① 研修会や出版など公認心理師のスキルアップをめざします。
② 専門資格認定など公認心理師のキャリアアップをめざします。
③ 公認心理師の職能の充実と拡大をめざします。
④ 公認心理師相互の情報交換のプラットフォームを提供します。

国民からの期待に応えるため、これまでの考え方にとらわれることなく、未来志向の公認心理師をめざします。公認心理師による公認心理師のための運営を基本方針とします。

公認心理師養成大学教員連絡協議会(公大協)と公認心理師の会は車の両輪

 設立に当たっては、公益社団法人日本心理学会と公認心理師養成大学教員連絡協議会(公大協)の後援を受けました。

 公認心理師養成大学教員連絡協議会は、大学・大学院において「科学者-実践家モデル」の理念による公認心理師を養成するために活動しています。

 公認心理師の会は、公認心理師養成大学教員連絡協議会の理念の下に養成された公認心理師を支援します。また、公認心理師の会は、公認心理師養成大学教員連絡協議会と協力して現場実習指導としての公認心理師の資質向上を支援します。

 上の図に示すように、公認心理師養成大学教員連絡協議会と公認心理師の会は、車の両輪として機能します。

 公認心理師の会は、科学者-実践家モデルにもとづく現場実習を提供することにより、高度専門職業人としての公認心理師の養成を支援します。また、現場に求められる公認心理師の在り方についての情報提供や、公認心理師主導の臨床研究(下位スキルの開発や効果研究)を通しても公認心理師の養成を支援します。

 他方、公認心理師養成大学教員連絡協議会は、科学者-実践家モデルに基づく公認心理師の養成をおこない、教育カリキュラム・現場実習マニュアルなどの整備を通して、公認心理師の会を支援します。こうした活動によって、心理学の学術的成果を現場に提供し、心理学の社会的貢献度を高めます。

活動

公認心理師の会は次のような活動をおこないます。

公認心理師のスキルアップをめざした研修活動
 公認心理師の5分野(医療・教育・福祉・司法・産業)等の研修会
 業務別の研修会(アセスメント、心理学的援助、コンサルテーション等)
 公認心理師の実習指導者のための研修会
 症例検討会など相互研鑽の場の提供
 公認心理師のスキルアップのための出版活動

② 公認心理師のキャリアアップをめざした専門公認心理師制度
 就職機会の向上(キャリアアップ)のための「専門公認心理師」制度

③ 公認心理師の職能の充実と拡大
 医療保険の診療報酬化をめざす情報収集と政策提言
 職能拡大の情報収集と研修会の実施
 専門領域のスーパーバイザーのための研修会

④ 公認心理師相互の情報交換のプラットフォーム
 ニューズレター(会報)の発行、ホームページの公表
 公認心理師の公募人事情報の掲載
 会員交流会など公認心理師のネットワークを作りと情報交換

会の組織

理事会(会の運営全般の管理)
研修会・年次総会委員会(研修会・年次総会の企画・運営)
広報委員会(会報の定期発行)
研究推進・学術情報提供委員会(科学者₋実践家モデルの推進活動)
専門資格委員会(専門公認心理師の認定)

会員

会員は公認心理師の資格を持つ者のみとします。
一定の年会費を徴収します。当分の間、年会費は5,000円とします。

事務局

一般社団法人 公認心理師の会 事務局
〒113-0033 東京都文京区本郷5-23-13 田村ビル
(公益社団法人日本心理学会) JPASS事務局内 TEL:03-3814-3953


定款

一般社団法人公認心理師の会 定款(teikan2305.pdf

倫理綱領

当会に所属する公認心理師が遵守すべき倫理指針について、以下に示す。

1.公認心理師は、人間についての深い認識と豊かな人間性を背景として、人間の健康な生活を守る使命感、責任感及び倫理観を有し、職責と倫理を十分に自覚し、公認心理師としての義務及び法令を遵守する。

2.公認心理師は、保健医療、福祉、教育、司法・犯罪、産業・労働、その他の分野において、専門的知識と技能を身につける意欲と態度をつねに持ち、自己研鑽を続ける。

3.公認心理師は、変化し続ける現場環境の中で、自ら幅広く多様な情報を収集し、経験を踏まえつつも、適切な心理学の知見とエビデンス(科学的根拠)の選択によって、課題解決に向けた対応を行う。

4.公認心理師は、支援対象者が有する多様な背景に基づく個別性を常に尊重し、支援対象者と良好な関係性を構築するようなコミュニケーション能力を持つ。

5.公認心理師は、多職種連携による支援の意義を理解し、その一員として積極的に行動することを心がける。

6.公認心理師は、支援対象者の安全を最優先し、支援対象者の主体性を重視しながら、その者を中心とした意思決定を支援する。

7.公認心理師は、社会から求められる役割を自覚し、地域における支援対象者とその関係者の心理的支援を行うことを通じて社会に貢献する。

8.公認心理師は、科学者-実践家モデルの意義を理解し、常に自身の学術的研鑽を怠らぬよう努めると共に、科学としての心理学の学術的発展に積極的に協力する。

9.公認心理師は、科学の進歩や社会的価値の変化にともなって求められる役割に対応していくために、生涯にわたり自己研鑽によって能力の開発・維持・向上に努める。

10.公認心理師は、心理的支援における教育的側面を理解するとともに、将来の公認心理師の質向上のために、教育能力およびその意欲を維持する。

(作成:倫理・職責・関連法規委員会)

(理事会承認:2022年6月21日)

ダウンロードはこちらから

倫理規程(2023年8月25日修正版)はこちら

設立の経過

国家資格「公認心理師」の実現

 2015年の公認心理師法の成立によって、心理学関係者が待望した国家資格「公認心理師」が作られることになりました。公認心理師法の成立は、日本心理学史上画期的な出来事です。心理師の持つ社会貢献のパワーを最大限に発揮できるインフラが整備されることになります。公認心理師法の成立に尽力された方々に対して深い敬意を表します。

 2017年には公認心理師法が施行されました。公認心理師をめざす学生は、大学で25科目、大学院で11科目を履修するという高いハードルを超える必要があります。また、公認心理師の養成が本格化し、養成する大学・大学院においては、これまでにない教育体制の強化が求められるようになりました。養成にあたっては、基礎心理学者と実践心理学者が協力して進めていくことが求められるようになりました。

公益社団法人日本心理学会の活動

 こうした問題に対して、公益社団法人日本心理学会は真摯に取り組んできました。

 日本心理学会は、1927年(昭和2年)に創設された学会で、心理学の総合学会としては最も長い歴史を持っています。会員数は約8,200名であり、基礎から実践まで心理学のすべての領域の会員がいます。これまで基礎資格としての「認定心理士」の認定事業などをおこなってきました。

 公認心理師法案の成立においても大きく貢献してきました。2005年には、日本心理学会の理事長辻敬一郎氏が医療心理師国家資格制度推進協議会の初代の会長をつとめました。以後も医療心理師国家資格制度推進協議会および日本心理学諸学会連合(日心連)において中心的役割を果たしてきました。2015年には、学会内に「公認心理師に係るワーキンググループ」を設置し、日本学術会議と合同で、公認心理師カリキュラムの提案をおこないました。

 公益社団法人日本心理学会は、以下のような理由から、公認心理師のカリキュラムを検討するのに最もふさわしい学会であると言えます。

① 公益社団法人日本心理学会は、広く基礎心理学と臨床心理学のすべての分野の専門家集団であるので、心理学のすべての領域にわたる公認心理師のカリキュラムを検討できる最も適切な学会です。

② 心理学教育を担う大学教員が多く加入しており、大学では公認心理師養成カリキュラムを実施する責任を持っている事が多いため、カリキュラムを検討するのにふさわしい学会です。

③ 日本心理学会は公益社団法人格を持ち、その活動は公益性が求められています。これまで認定心理士資格事業を行っており、大学での心理学履修を認定し、その単位認定基準を明確化し、教科書を作成してきた経験があります。こうした点でも、カリキュラムを検討するのにふさわしい学会です。

④ 諸外国においては、心理学の基幹学会(米国はAPA、英国はBPS)が資格制度の在り方を監修しています。こうした点からも、日本心理学会がその役割を担うことは自然な方向性と思われます。

公認心理師に貢献する公益社団法人日本心理学会の活動

 2017年12月には「公認心理師大学カリキュラム 標準シラバス」を作成し、大学で授業を担当している教員の指針として公表しました。最初の案に対して、会員からのパブリックコメントを求めたところ、2018年3月末までに多くのパブリックコメントが寄せられ、これをもとに修正を加え、新たなシラバスを公開しました。

 また、2018年4月には、心理学教育を行なっている大学の学部・学科・コース等を対象として、大規模な「公認心理師養成についてのアンケート調査」をおこないました。このアンケート調査では、「公認心理師カリキュラムを実施するに当たって不安や困難を感じていること」を尋ねましたが、多くの大学・大学院で、授業や講師の確保、実習先の確保、卒業生の進路などについて困難を感じていることが明らかとなりました。また、公益社団法人日本心理学会に望むことを尋ねたところ、「養成大学の要望をまとめて5年後の見直しで官庁と交渉してほしい」、「養成大学の組織化をすすめ、大学間の横の情報交換を進めてほしい」といった強い要望が寄せられました。

公認心理師養成大学教員連絡協議会の発足

 このような要望を実現するためには、大学間で公認心理師養成の情報を共有し、これからの方向を考えていくためのネットワークが必要であると考えられました。そこで、公益社団法人日本心理学会は、2018年に「公認心理師養成大学教員連絡協議会」を発足させることにしました。

 公認心理師養成大学教員連絡協議会は、公認心理師養成についての情報を集めて共有し、科学者-実践家モデルにもとづく公認心理師養成のありかたを議論しています。この会は、次の4つのワーキンググループに分かれて、5年後の制度見直しに向けて、活発な活動を進めています。

① 学部カリキュラム(標準シラバス、コンソーシアムと単位互換など)、

② 大学院カリキュラム(実践力の育成方法、実習施設との連携のあり方、臨床技能の到達基準、研究者養成、実習指導者育成など)

③ 実習要領(実習施設要件、実習指導者要件、実習内容等の検討など)

④ 国家試験(試験内容や出題方法の検討など)

 幸いにも多くの先生方のご賛同をいただき、組織会員・個人会員・加盟団体とも順調に増えております。

詳しくは次のサイトを参照ください。
https://psych.or.jp/qualification/shinrishi_info/

公認心理師の会の立ち上げ

 2018年9月9日には第1回の公認心理師試験が実施されました。11月30日には合格発表があり、国家資格の公認心理師第1号が誕生しました。

 公認心理師養成大学連絡協議会の活動をおこなう過程で、私たちは、科学者-実践家モデルにもとづく公認心理師を効果的に養成するためには、例えば実習などにおいて現場の公認心理師との連携が不可欠であることを痛感しました。

 そこで、このたび公益社団法人日本心理学会の後援を受けて、公認心理師養成大学連絡協議会の関係者を中心として、新たに「公認心理師の会」を設立することにいたしました。

 科学者-実践家モデルの理念に基づいて、研修会・事例検討会を実施し、実習指導者の育成、専門資格の認定といった事業をおこないます。これまでの考え方にとらわれることなく未来志向の公認心理師をめざします。

発起人一覧

発起人一覧

氏名所 属地域
金澤潤一郎北海道医療大学北海道
金井嘉宏東北学院大学東北
竹林由武福島県立医科大学東北
小松智賀赤坂クリニック関東
松元智美赤坂クリニック関東
長田久雄桜美林大学関東
山蔦圭輔大妻女子大学関東
市倉加奈子北里大学関東
柳井優子国立がん研究センター関東
岡部馨国立精神・神経医療研究センター関東
長谷川由美国立精神・神経医療研究センター関東
松田修上智大学関東
伊藤絵美洗足ストレスコーピング関東
太田晴美千葉県がんセンター関東
浅井真理子帝京平成大学関東
伊藤理沙東京大学関東
丹野義彦東京大学関東
岡島純子東京医療学院大学関東
岡島義東京家政大学関東
筒井順子東京女子医科大学関東
神村栄一新潟大学関東
横田正夫日本大学関東
石原俊一文教大学関東
柴崎光世明星大学関東
大塚明子楽山病院関東
大月友早稲田大学関東
小野はるか早稲田大学関東
佐藤秀樹早稲田大学関東
鈴木伸一早稲田大学関東
野村和孝早稲田大学関東
松井三枝金沢大学中部
高橋史信州大学中部
正木美奈なごやメンタルクリニック中部
佐藤友哉新潟大学中部
佐々木淳大阪大学近畿
佐藤寛関西学院大学近畿
庵地雄太神戸百年記念病院近畿
石川信一同志社大学近畿
武藤崇同志社大学近畿
三田村仰立命館大学近畿
佐藤健二徳島大学中国・四国
古川洋和鳴門教育大学中国・四国
杉浦義典広島大学中国・四国
澤田梢広島県立障害者リハビリテーションセンター中国・四国
日下部典子福山大学中国・四国
藤目文子府中みくまり病院中国・四国
境泉洋宮崎大学九州・沖縄
戸ヶ崎康子宮崎大学九州・沖縄
伊藤義徳琉球大学九州・沖縄

氏名所 属地域
冨家直明北海道医療大学北海道
竹林唯福島県立医科大学東北
川崎奈緒子赤坂クリニック関東
野口恭子赤坂クリニック関東
山口英里赤坂クリニック関東
小関俊祐桜美林大学関東
小林奈穂美カウンセリングルームさくら関東
副島沙彩国立がん研究センター関東
竹内恵美国立がん研究センター関東
佐藤さやか国立精神・神経医療研究センター関東
横山知加国立精神・神経医療研究センター関東
国里愛彦専修大学関東
田上明日香SOMPOヘルスサポート(株)関東
森脇愛子帝京大学関東
上田淳子東京大学関東
堂谷知香子東京大学関東
五十嵐友里東京家政大学関東
福井至東京家政大学関東
山崎修道東京都医学総合研究所関東
田中恒彦新潟大学関東
岡嶋美代BTCセンター関東
中澤佳奈子水戸メンタルクリニック関東
渡部匡隆横浜国立大学関東
入野晴菜早稲田大学関東
小川祐子早稲田大学関東
桂川泰介早稲田大学関東
嶋田洋徳早稲田大学関東
田山淳早稲田大学関東
富田望早稲田大学関東
光山裕生早稲田大学関東
星野貴俊金沢工業大学中部
坂井誠中京大学中部
古村健東尾張病院中部
有光興記関西学院大学中部
宮秋多香子京都ここてまる近畿
巣黒慎太郎住友病院近畿
杉若弘子同志社大学近畿
伊藤大輔兵庫教育大学近畿
津川秀夫吉備国際大学中国・四国
山本哲也徳島大学中国・四国
佐々木美保比治山大学中国・四国
尾形明子広島大学中国・四国
高垣耕企広島大学中国・四国
首藤祐介広島国際大学中国・四国
小河修祐府中みくまり病院中国・四国
高橋高人宮崎大学九州・沖縄
長尾愛美宮崎大学医学部付属病院九州・沖縄

ニューズレター

公認心理師の会は、ニューズレター(会報)を年数回発行しています。

ニューズレターは、公認心理師に関連した行政施策・治療ガイドライン・公認心理師業務に関連する制度改正などの最新情報を提供しています。また、研修会、年次大会、関連団体のイベントなどについての最新情報も提供します。

ニューズレターは会員のみに限定配信されるもので、会員の特典のひとつです。

商標登録

2019年7月5日、「公認心理師の会」の登録商標が特許庁より認められました(登録第6158994号)