公認心理師の会

Web研修会

WS6 倫理・職責・関連法規部会ワークショップ「臨床現場におけるエビデンスに基づいた実践の方法論」

ワークショップ詳細

開催日時

ライブ配信(A方式)

2020年9月27日(日)13:00~16:00

録画配信(B方式)

2020年10月1日(木)~2020年3月7日(日)

参加募集〆切

2021年2月28日(日)
2020年度 Web研修会にて開催

研修方式

演習や実習を一部含む講義

想定する対象者

主に医療現場で活動しておられる公認心理師・公認心理師受験予定者(大学院生含む)を対象とした内容となりますが、福祉、司法、教育領域の実践家の方でも参加は可能です。

ワークショップ概要

心理学におけるエビデンスに基づく実践(EBPP)とは、大規模研究で得られたエビデンスの知見を日常臨床にそのまま適用することではありません。患者の特徴、文化および希望という枠組みのなかで得られる最新最善の研究エビデンスと臨床上の判断を統合させたもの(米国心理学会、2006)です。そのため臨床実践家には、目の前の対象者の状態や特性に合わせた柔軟な対応が求められます。私達は対象者に合わせた柔軟性の高い実践を行うために、できる限り客観的な行動を継続測定する重要性を提案しています(柳澤ら,2016など)。行動を継続的に測定することで、本当に「心理介入が必要なのか」判断ができ、実施した介入の効果の有無を評価することができ、また介入の終了地点について妥当な判断をすることができるようになります。本ワークショップでは、実践事例の紹介、行動測定の基礎、心理面接から行動測定につなげる技術などを、講義及び演習を通じて理解を深めます。

講師紹介

柳澤 博紀

所属・役職

医療法人桜桂会犬山病院心理室 主任 公認心理師

略歴

長野県生まれ。
中京大学心理学研究科修士課程(臨床・発達心理学)修了(2006年)
数か所の精神科クリニックの他、不登校支援施設の心理士、小学校、中学校、高校のスクールカウンセラーなどを兼務し行動療法・認知行動療法を実践。(2006年~2013年)
医療法人桜桂会犬山病院心理室、臨床心理士(2013年より現在に至る)
中部学院大学人間福祉学部非常勤講師(2015年より現在に至る)
同朋大学大学院人間福祉研究科非常勤講師(2016年より現在に至る)
専門は臨床心理学、認知行動療法、臨床行動分析。

公的活動・学会活動・社会的活動など

所属学会:日本認知・行動療法学会、日本行動分析学会、日本心理臨床学会、ACT-JAPAN、日本マインドフルネス学会 など
学会委員:日本認知・行動療法学会、企画委員(2018年から現在)

資格

公認心理師・臨床心理士

受賞歴など

日本マインドフルネス学会 第2回大会 優秀ポスター発表賞

おもなワークショップ担当歴

第5回臨床行動分析カンファレンス(2019年)ワークショップ。「行動アセスメント面接法―クライエントとの言葉のやり取りから行動測定につなげる技術―」

公認心理師の方へ一言

実践家による実践家のためのワークショップです。概論よりも具体例をより多くし、皆様の日常の臨床活動に明日から生かせるワークショップを目指します。多数の方のご参加お待ちしております。

瀬口 篤史

所属・役職

西知多こころのクリニック 心理士

略歴

大学院卒業後、精神科病院やクリニック心理士、企業内カウンセラー、大学教員等として15年ほど勤務し、現在は臨床活動を続けながら、立命館大学大学院人間科学研究科にて研究活動を行っている。ACT Japan理事。日本行動分析学会会員。日本認知・行動療法学会会員。日本心理臨床学会会員。

著書

ハリス, R. 武藤崇(監修)三田村 仰・酒井美枝・大屋藍子(監訳)2017 使いこなすACT セラピーの行き詰まりからの抜け出しかた 星和書店(Harris, Russ (2013) “Getting Unstuck in ACT: A Clinician’s Guide to Overcoming Common Obstacles in Acceptance and Commitment Therapy”, New Harbinger Pubns Inc. 日本語版)翻訳、出版

公的活動・学会活動・社会的活動など

【学会活動】
・2016年3月 三田村仰, 瀬口篤史, 柳澤博紀『臨床行動分析の実践から学ぶ:臨床場面での機能的・文脈的な視点』ACT Japan 2015年度年次ミーティング, 東京.(シンポジウム開催)
・2016年6月 Seguchi, Atsushi & Shudo, Yusuke “Treatment based on Acceptance and Commitment Therapy for a woman with writer’s cramp.” 8th World Congress of Behavioural and Cognitive Therapies (WCBCT), Melbourne.(ポスター発表)
・2016年10月 瀬口篤史, 柳澤博紀, 首藤祐介, 今野高志, 三田村仰『臨床現場で行動指標を活用する―現場からの有効性・有用性の発信を目指して―』, 日本認知・行動療法学会第42回大会, 徳島.(シンポジウム開催)
・2016年10月 瀬口篤史『失禁恐怖の女性に対するアクセプタンス&コミットメント・セラピーに基づく介入と行動指標の活用』, 日本認知・行動療法学会第42回大会, 徳島.(ポスター発表)
・2016年11月 熊野宏明, 瀬口篤史, 今井正司『メタ認知療法とACT』, 第16回日本認知療法学会, 大阪(ワークショップ開催)
・2017年9月 瀬口篤史、首藤祐介、石川健介、柳澤博紀、今野高志、米山直樹『クライエントに役立つターゲット行動と行動指標の選択(自主企画シンポジウム8)』日本認知・行動療法学会第43回大会(企画・シンポジストとして)
・2017年11月 三田村仰, 首藤祐介, 瀬口篤史, 柳澤博紀, 今野高志 『臨床行動分析を現場で活かす-マインドフルネスと価値を視野に入れた認知行動療法-』, 日本心理臨床学会第36回大会, 神奈川.(シンポジウム開催)
・2018年3月 瀬口篤史『単独外出が困難となった女性に対する臨床行動分析による介入と行動指標の活用』ACT Japan年次ミーティング(ポスター発表)
・2018年10月 瀬口篤史、武藤崇、首藤祐介、今野高志、岡島義『誰のために、何のために測定するのか?クライエントの役に立つ行動の測定へ』,日本認知・行動療法学会第44回大会(企画・司会として)

【社会的活動】
・2017年より現在まで『臨床行動分析カンファレンス』を年2回開催している。

資格

公認心理師、臨床心理士

受賞歴など

2019年ACBS(Association for Contextual Behavioral Science)World Conference 17(Dublin)にて、ポスター賞(Junior Investigator Poster Award)を受賞。

おもなワークショップ担当歴

公認心理師の方へ一言

心理学的実践におけるエビデンスとは、「患者の特徴、文化、意向という文脈において、その時点で手に入る最良の研究成果を、臨床技能に統合すること」とされています(APA, 2006)。つまり、患者さんの文脈を無視して大規模研究の結果をそのまま当てはめることは、必ずしもエビデンスに基づいた実践とは言えません。この研修では、臨床現場で行う心理的介入が、患者さんの意向や価値観に沿った改善を生み出しているかどうかについて、シングルケースデザインや行動指標を用いて検証する方法をご紹介いたします。日頃の臨床実践において役立ちましたら幸いです。